【令和7年度税制改正大綱】あなたの家計と企業経営に影響大!注目ポイントを徹底解説

はじめに

令和7年度の税制改正大綱では、経済活性化と国民生活の向上を目指し、様々な施策が盛り込まれています。本記事では、個人所得課税、資産課税、法人課税、消費課税、国際課税、納税環境整備などの主要項目について、詳細に解説していきます。

個人所得課税の改正

個人所得課税の分野では、低所得層の税負担軽減と、若年層の就労支援が主眼となっています。

所得控除の拡充

いわゆる「103万円の壁」への対応として、所得税の基礎控除が48万円から58万円に引き上げられます。また、給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に引き上げられます。これにより、所得税がかからない収入の上限が123万円に引き上げられ、低所得層の手取りが増えることが期待されています。

さらに、大学生のアルバイト収入などで扶養控除が制限される問題を改善するため、新たに「特定親族特別控除」が設けられます。これにより、親等が扶養に入れられる収入の上限も123万円に引き上げられます。

子育て支援策の拡充

子育て世帯への支援として、生命保険料控除が拡充されます。23歳未満の扶養親族を有する場合、一般生命保険料控除の限度額が2万円増額され、6万円となります。また、子育て対応改修工事に係る住宅リフォーム税制の適用期限が延長されます。

さらに、令和6年度に導入された住宅ローン控除の特例措置が令和7年度も継続されます。これにより、長期優良住宅やZEH水準の省エネ住宅を取得した場合に、借入限度額が引き上げられるなどの優遇措置が受けられます。

資産形成支援策の強化

個人投資家の資産形成を後押しするため、確定拠出年金制度(iDeCo)の拡充が行われます。具体的には、掛金の上限額が引き上げられるほか、マッチング拠出の制限が撤廃されます。また、加入年齢の上限も引き上げられる予定です。

NISAの利便性向上や、スタートアップへの投資を促進するためのエンジェル税制の拡充なども検討されています。

資産課税・法人課税の改正

business

資産課税と法人課税の分野では、中小企業支援や事業承継の円滑化が主な柱となっています。

中小企業支援策の強化

中小企業の経営基盤強化を後押しするため、中小企業者等に対する法人税の軽減税率の適用期限が2年延長されます。また、中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の期限も2年延長される予定です。

さらに、設備投資に関する固定資産税の特例措置も延長されます。これらの措置により、中小企業の設備投資や経営改善が後押しされることが期待されています。

事業承継税制の見直し

円滑な事業承継を促進するため、事業承継税制の要件が緩和されます。具体的には、雇用要件の緩和や、一括納税の特例の拡充などが行われる予定です。

事業承継は、経営資源の有効活用や雇用の維持などの観点から重要な課題となっています。今回の見直しにより、事業承継がより円滑に進むことが期待されています。

組織再編に関する税制の見直し

企業の組織再編に係る税制についても、見直しが行われます。具体的な内容は明らかにされていませんが、企業活動の円滑化や企業間の競争力強化につながることが期待されています。

消費課税・国際課税の改正

taxation

消費課税と国際課税の分野では、国際的な取り組みへの対応や、外国人旅行者への対応が主な柱となっています。

外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し

外国人旅行者向けの消費税免税制度がリファンド方式に見直されます。これまでは、免税店での購入時に免税手続きを行う「ストアリファンド方式」が採用されていましたが、出国時の手続きに切り替わります。

この改正により、制度の透明性が高まり、不正利用の防止につながることが期待されています。一方で、外国人旅行者の利便性が低下する可能性もあり、観光立国を目指す日本にとっては課題が残ります。

グローバル・ミニマム課税への対応

OECD主導の国際課税ルール見直しに伴い、グローバル・ミニマム課税制度の導入が行われます。具体的には、軽課税所得ルール(UTPR)と国内ミニマム課税(QDMTT)が新設されます。

これにより、企業の所得が一定水準以上の税率で課税されることになり、國際的な課税ベースの浸食や租税回避への対策となります。日本企業の海外子会社についても影響が出るため、外国子会社合算税制の見直しも行われます。

防衛力強化に係る税制措置

防衛力強化に必要な財源を確保するため、新たな税制措置が講じられます。具体的には、防衛特別法人税(仮称)の創設が検討されています。

防衛力の強化は、日本の安全保障上の重要課題となっています。税制面からの財源確保は、防衛費の確実な確保につながるものと期待されています。

納税環境整備

taxation

納税環境の整備は、適正な納税の確保と納税者の利便性向上の観点から重要な施策です。

電子帳簿等保存制度の見直し

電子帳簿等保存制度について、見直しが行われます。現行制度では、一定の要件を満たせば書面の保存は不要となっていますが、制度の普及が進んでいない状況にあります。

今回の見直しでは、適用要件の緩和や制度の利便性向上が図られる見込みです。電子データの保存・管理の負担軽減が期待されています。

e-Taxの利便性向上

電子申告・納税システム(e-Tax)の利便性向上が図られます。具体的な改善点は明らかにされていませんが、申告手続きの簡素化や利用者の利便性向上につながることが期待されています。

e-Taxの利用促進は、納税コストの削減や納税機会の確保にもつながります。行政手続きのデジタル化を推進する上で、重要な取り組みとなっています。

その他の納税環境整備

上記のほか、源泉徴収票の提出範囲の拡大や、退職所得控除の調整規定の見直しなども行われる予定です。適正な納税を確保するための環境整備が進められています。

また、法人課税信託における課税の適正化も図られます。信託税制の透明性を高め、公平性の確保につながることが期待されています。

まとめ

以上のように、令和7年度税制改正大綱では、幅広い分野にわたる改正が盛り込まれています。低所得層や子育て世帯への支援強化、中小企業の経営基盤強化、事業承継の円滑化、国際的な租税回避対策への対応、納税環境の整備など、様々な施策が講じられる予定です。

今後、これらの改正内容を確認し、適切な対応を行うことが重要となります。税制は、経済活動や国民生活に大きな影響を与えるため、企業や国民一人ひとりが注視していく必要があるでしょう。

よくある質問

個人所得課税の改正内容は?

p:個人所得課税では、所得税の基礎控除が48万円から58万円に引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に増額されます。また、子育て世帯への支援として生命保険料控除が拡充されるほか、確定拠出年金制度の拡充も行われる予定です。

企業支援策の内容は?

p:企業支援策としては、中小企業者等に対する法人税の軽減税率の適用期限が2年延長されるほか、中小企業投資促進税制や事業承継税制の要件が緩和される予定です。また、企業の組織再編に係る税制の見直しも行われ、企業活動の円滑化や競争力強化が期待されています。

消費課税・国際課税の改正は?

p:消費課税では、外国人旅行者向けの消費税免税制度がリファンド方式に見直されます。一方で国際課税では、グローバル・ミニマム課税制度の導入や防衛特別法人税の創設が検討されており、国際的な課税ルールへの対応が図られています。

納税環境の整備はどのように行われるか?

p:納税環境の整備としては、電子帳簿等保存制度の要件緩和やe-Taxの利便性向上が図られる予定です。また、源泉徴収票の提出範囲拡大や退職所得控除の調整規定の見直しなども行われ、適正な納税を確保するための環境整備が進められます。