アメリカ利下げによる影響
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの菊池です。
今日はアメリカがゼロ金利政策を発表したというニュースについてお伝えいたします。
アメリカがゼロ金利政策を打ち出したということは、
日本でお金を増やしたいと思っている方には大きな影響があります。
金利とは?
まずは金利とは?という基本的な話をお伝えします。
「既に知っているよ」という方は飛ばしてください。
一般に、金利と聞いてなじみ深いのは
①預金金利と②住宅ローンの金利の2つではないでしょうか?
比較しやすい日本の金利で見てみましょう。
2010年6月 | 2020年6月 | 10年前と比べて | |
①普通預金金利 | 0.2% | 0.001% | ↓(下がっている) |
②フラット35金利 | 2.41% | 1.29% | ↓(下がっている) |
一般的に、金利を下げると預金金利だけではなく、ローンの金利も下がります。
①預金金利は、現在日本では普通預金金利は0.001%(2020年6月)となっております。
これは1年間100万円預けていても、利息は10円(!)しかつかないことを表しております。
10年前の2010年6月は0.2%となっており、1年間100万円預けると2,000円増えました。
預金金利は高い方がいいですよね。
②住宅ローンの金利は、代表的な固定金利であるフラット35は
21年以上の場合1.29%(2020年6月最多金利)となっております。
仮に3000万円を35年間で借りると月88,800円です。
10年前の2010年6月は2.41%となっており、同じ条件で月105,806円です。
当然、借りる場合は低い金利の方が嬉しいですよね。
これは消費者心理からみると、金利が下がると「銀行に預けててもしゃーない」となります。
また、「月々こんな金額で家(車)が買えるなら買おうかな」と
大きなものをローンなどで買う時の後押しになります。
逆に金利が上がると、消費者心理としては「貯金したらいっぱい増える!」となり、
お金を使わずに貯金し始めます。
つまり、金利を下げるとその国の景気は刺激される(景気を良くしようとする)ことにつながり、
逆に金利を上げると景気を引き締める(景気を落ち着かせる)ことにつながります。
政府の金利コントロールはこういうところに意図があります。
日本は2016年2月から「マイナス金利」となっておりますが、
これは「どんなことをしても景気を良くしたい」という日本銀行の強い意志です。
アメリカの金利が下がると…
アメリカのドルは通貨供給量が多く、基軸通貨です。
日本の円もユーロとともに3大基軸通貨ではありますが、
ドルの基軸通貨としての役割はその中でも高いと言えます。
アメリカが金利を下げること=アメリカの景気を刺激する
ここまでは日本はじめアメリカ以外の国とも同じなのですが、
アメリカが金利を下げることは
日本のように自国通貨で増やすことができず、外貨預金や外債、外貨建て保険など
アメリカの通貨の高金利(あくまで自国通貨と相対的な面で)を
活かしてお金を増やそうと思っていた国には大きなダメージが出てきます。
それだけ、ドルという通貨が変わることはインパクトが大きいものです。
外貨預金に関しては定期預金でない限り毎月金利は見直されるため影響はありませんが、
外債や外貨建て保険のように契約時に予め金利が決まっているものに関しては
商品の体力を削られていることに直結します。
外貨建て保険には早くも影響が
外資系保険会社中心で販売されている外貨建て保険については
早くも予定利率を下げることを決断している会社も複数社ございます。
既得権益は守られるので、一定期間の利回りが固定されてしまうような
外貨建て商品を検討する際は商品としての金利が改定される(下がる前)にご検討くださいませ。
外貨はドル以外にも当てはまる
また、日本の皆様が運用する目線で考えると
米国債の金利低下は他国の債券にも多大なる影響を及ぼします。
「米国でこれぐらいしか出ないんだったら、南アフリカやトルコで増やすか。」
となり、ランドやリラなど新興国債券の需要が増大します。
すると、新興国側も
「少々利率が低くても買ってくるな」
となり、新興国債券の利回りも低下する傾向にあります。
新興国債券で運用をお考えの方も注意が必要です。
投資信託(株式)にとっては金利低下は朗報となることが多いが…
株や株式投資信託にとっては金利低下の景気刺激策はありがたい政策です。
特にFRBはなかなか利下げを良しとしないので、
アメリカの株式投資家にとっては嬉しいニュースかもしれません、
ただし金利を下げることと株価が上昇することはイコールではありません。
あくまで景気(株価)を刺激する策であるだけです。
私のところにもコロナ以降相談が多いのですが、
「この時期に口座開設をして株を始めよう」と思った方です。
ご相談者にお話ししていることは
始める前に「いくら損をしたら売却する」ということを決めておくことと
「追加投資はしない」ことを決めてもらっています。
おおよそー5%、ー10%、ー20%ぐらいで
私が財布から現金を貰うイメージを持ってもらい、
許せるか許せないかを決めてもらいます。
たとえば100万円運用したい方は「20万円もらってもいいですか?」
「10万円は?」という感じです。
口座開設自体を否定するわけではございませんが、
株や投資信託はギャンブルではありません。
儲かろうがなにしようがギャンブルに成り下がるような運用は、
私も自らの仕事の価値を下げるので絶対にお勧めいたしません。
「昨日雨降ったから、今日は晴れる」わけではありません。
大雨になったり、想像が出来ないような天気になることもあります。
短絡的な投資には十分注意願います。