NVIDIAが時価総額4兆ドル突破!
2025年7月10日(木曜日)終値、NVIDIAの時価総額がついに4兆ドルを突破しました。これは世界で初めてであり、テクノロジー企業が世界経済をけん引する象徴的な出来事といえます。また、トランプ関税の問題で世界中で関税が注目されており、それによって対応措置ともいえる「デジタル課税」の動きがあります。
今回は、GAFAMをはじめとした米国の巨大IT企業がターゲットとなる中で、どの企業が影響を受けやすく、どの企業が影響を受けにくいのかについてお伝えします。本記事では、以下のテーマで深掘りしていきます。(※本記事は特定の銘柄を推奨したり、値上がりを保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。)
- NVIDIAの時価総額が4兆ドルを突破した背景
- デジタル課税とは何か?
- デジタル課税の影響を受けやすい銘柄と受けにくい銘柄(米国株)
NVIDIAの時価総額が4兆ドルを突破した背景
少し前に「3兆ドルクラブ」の仲間入りを果たしたNVIDIAですが、2025年7月10日現在、NVIDIAの時価総額はあっという間にAppleやMicrosoftを追い越して4兆ドルに達しました。その背景にはいくつかの要因があります。

1. AI・半導体需要の爆発的拡大
ChatGPTやGemini、Soraなどの生成AIの進化と普及により、データセンター向けGPUの需要が急増しました。NVIDIAの主力製品であるH100やB100は、AIモデルのトレーニングや推論処理において業界標準として位置付けられており、NVIDIAのデータセンター事業の中心的製品です。
2. ソフトウェアとエコシステムへの展開
単なるハードウェア企業ではなく、CUDA(並列計算プラットフォーム)やNIM(推論用API)など、AIエコシステムに不可欠なソフトウェア基盤で優位性を築いています。これにより、NVIDIAの収益モデルはより安定性を増しています。
3. データセンター事業の成長
クラウド大手(Amazon AWS、Google Cloud、Microsoft Azure)との提携が進み、データセンター向けGPUの大量供給が業績に直結しています。特に生成AIのブーム以降、半導体の供給能力自体が競争優位性となりました。
4. 株式分割・個人投資家の買い増し
2024年に行われた株式分割によって、個人投資家にも購入しやすくなり、個人マネーの流入が増えました。これが株価の底上げにつながったという面も見逃せません。
5. 設計中心のファブレス企業であるため「関税問題」の影響小
NVIDIAは自社で製造施設を持たず、TSMCなど外部のファウンドリに委託しています。そのため、自社で大量の関税を支払う必要がなく、輸出管理(ライセンス制約)によるカバー率は低めです。AIサーバーの組立などの分野もメキシコを含む北米で行っており、北米自由貿易協定(新USMCA)により関税がかかりにくい状況にあります。
つまり、NVIDIAは、設計ビジネスモデル+北米組立+グローバル調整によって関税リスクを低く押さえており、まさに「関税に関わりにくい」企業と言えるでしょう。
デジタル課税とは何か?
ただし、「デジタル課税」ということもEU中心に整備され始めております。これは、GAFAなどの多国籍IT企業が自国の法人税を回避する行為に対して、新たな課税ルールを設ける仕組みです。主な枠組みは以下の2つです。

1. 市場国課税
デジタルサービスを提供している企業に対し、ユーザーが所在する国(市場国)でも法人税を課すことができるようにする。
2. 最低税率
グローバル企業に対して最低15%の法人税を課すというルール。タックスヘイブン対策の一環として導入されました。2023年にOECD加盟国の多くが合意し、2024年から一部の国で導入が始まり、2025年以降に本格適用が拡大しています。
デジタル課税の影響を受けやすい銘柄・受けにくい銘柄(米国株)
下記にデジタル課税の影響を受けやすい銘柄と受けにくい銘柄を記載しておきます。
※受けにくいから株価が上がりやすい、受けやすいから株価が上がりにくいということを表しておらず、株価は複合的要因によって変動するものと理解くださいませ。
影響を受けやすい銘柄
- Alphabet(GOOGL)
- 広告収入の多くが世界中のユーザーから得られており、市場国課税の対象となる可能性が高い。
- Meta Platforms(META)
- デジタル広告とSNSサービスをグローバルに展開しており、多国籍課税の影響を受けやすい。
- Amazon(AMZN)
- クラウド(AWS)とEC事業の両方が影響を受ける。特にロジスティクスの税務処理が複雑化する見込み。
- Apple(AAPL)
- アプリストアやデジタルサービスの課税強化により、利益率に影響が出る可能性。
影響を受けにくい銘柄
- NVIDIA(NVDA)
- 主にハードウェアとソフトウェアライセンス販売で構成され、課税対象の中心であるデジタル広告とは距離がある。
- Broadcom(AVGO)
- 半導体設計・製造が主で、国際課税の影響は限定的。
- Berkshire Hathaway(BRK.B)
- 金融・保険・鉄道など伝統的なビジネスが中心で、デジタル課税の影響を受けにくい。
まとめ
NVIDIAの時価総額4兆ドル突破は、AIと半導体の未来に対する期待の象徴であり、米国株市場の主役が変わりつつあることを示しています。
一方で、デジタル課税という新たな国際ルールは、企業の利益構造に影響を与える可能性があり、特にデジタル広告や国際的なECプラットフォームを展開する企業は注意が必要です。
今後は、AI・サイバーセキュリティ・業務効率化といった領域に強みを持つ企業に注目が集まると考えられます。個別銘柄やサテライト運用を多く保有している投資家としては、これらの変化を敏感に捉えることが重要となります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっては、ご自身の投資目的・リスク許容度に応じたご判断をお願いいたします。